臨床経験
外科的修復を要した蘇生時の胸骨圧迫に伴う動揺胸郭
竹谷 園生
1
,
蒔本 好史
,
國武 真史
,
姉川 朋行
1戸畑共立病院 呼吸器外科
キーワード:
フレイルチェスト
,
胸骨
,
内固定法
,
骨板
,
心臓マッサージ
,
心停止
,
心房細動
,
蘇生
,
肋骨骨折
,
三次元イメージング
,
胸部CT
Keyword:
Bone Plates
,
Atrial Fibrillation
,
Fracture Fixation, Internal
,
Heart Massage
,
Flail Chest
,
Heart Arrest
,
Resuscitation
,
Sternum
,
Rib Fractures
,
Imaging, Three-Dimensional
pp.1013-1016
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017078315
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
84歳男性。6ヵ月前に上行結腸癌に対し腹腔鏡補助下右半結腸切除術を施行、経過中に癒着性腸閉塞に対する腹腔鏡下癒着剥離術を要したが、癌の再発はなく経過していた。今回、気分不良を訴え救急搬送中に心室細動を発症し、救急車内で電気除細動と心肺蘇生法がなされたが心停止となり、蘇生法を継続しながら初療室へ搬入となった。そして初療室へ搬入14分後に心拍が再開、引き続いてICUへ入室し集中管理を行った。原因として以前からの腎機能低下に加え、何らかの複合的要因による尿毒症、高カリウム血症が致死的不整脈の原因と考えられた。そこで、腎不全、高カリウム血症に対してカルシウムの投与、glucose-insulin療法、持続濾過透析を施行したところ、速やかに全身状態は安定した。更に第3病日目には持続濾過透析も離脱でき、呼吸機能も換気補助により良好であったが、蘇生に伴う胸骨骨折および肋骨骨折ほか、動搖胸郭が認められた。人工呼吸器管理による保存的治癒を期待し、第4病日目に気管切開術が施行されたが、胸骨骨折は偽関節となり、人工呼吸器を一時的に除去すると胸郭の奇異運動が著明であった。保存的治療では人工呼吸器離脱が困難と考え、第22病日目に手術を施行した。その結果、胸骨と肋骨の固定により人工呼吸器管理から離脱でき、患者は術後第14病日目に療養型病院へ転院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016