発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313873
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64歳男.患者は労作時胸痛を主訴とした.人工血管による腹部大動脈-両側浅大腿動脈へバイパス術を受けており,心カテーテルによる冠状動脈造影(CAG)を施行した.右冠状動脈(RCA)は2区画(#2)で閉塞し,#3は造影されなかった.左前下行枝(LAD)#6の閉塞を認め,これより先の末梢が全く造影されなかった.Multidetector-row CT(MDCT)を施行し,RCAは#2に完全閉塞を認め,これより末梢は造影されたが,#3に強い石灰化を含む75%狭窄が疑われた.更に従来MDCTでは困難とされていたる#4房室枝と#4後下行枝も良好に造影され,細いが開存を確認した.また,RCAと左回旋枝からの側副路を介して,LAD#6の3cm長の完全閉塞から末梢の#7以下が良好に造影された.LADの造影が確認されたため,冠状動脈バイパス術(CABG)の適応とした.術後は良好な経過をたどり,CAGで大伏在静脈グラフトと左内胸動脈グラフトが良好に造影され,軽快退院となった.尚,本症例はMDCTの評価によりCABGの適応が決定された初めての報告と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2006