発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313872
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54歳男.患者は前胸部痛を主訴とした.前医でCTによりStanford B型急性大動脈解離と診断され,右下肢の虚血症状があり,発症5時間後に緊急搬送された.胸腹部CTならびに大動脈造影所見では胸腹移行部で解離腔により真腔が著明に圧排され,横隔膜上で著しく狭小化していた.右大腿動脈では血流停滞を認め,腹部内臓への虚血も疑われた.急激な再灌流は筋腎代謝性症候群を惹起し,心肺に影響を及ぼすことを懸念し,小口径ステントの留置により真腔の内腔保持を試みた.これにより真腔の内腔は確保されたが,第17病日目にステントよりも中枢側の胸部大動脈で真腔狭窄を認めた.よってステントのみで下肢の血流を保つことは困難と判断された.以後,腹部大動脈レベルでの真腔の太さは維持され,腹部分枝は全て真腔から起始していたため,両側腋窩-大腿動脈バイパス術を施行した.術後,症状は改善し,第37病日目に退院となった
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