発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302207
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47歳女.5年前より降圧薬を服用し,1日に20本20年間の喫煙歴があった.突然の胸背部痛により受診し胸部CTにて急性大動脈解離と診断され緊急搬送となった.身体所見は異常は認められず,血液検査所見でもWBC高値を認めた以外に異常はなく,心エコーでも大動脈弁逆流I度を認めるのみであった.胸部造影CTでは上行大動脈から腹部大動脈まで解離を認め,腎動脈分枝部以下の大動脈の偽腔は開存しており,Stanford A型急性大動脈解離と診断された.全身麻酔下仰臥位にて送血路として左大腿動脈と右腋窩動脈を剥離したが肥満による皮下脂肪と出血のため視野が得られず,左大腿動脈のみを送血路とした.胸骨正中切開にて開胸後送血開始,上行動脈を遮断し心筋保護液を投与した後,右上肢の平均血圧が15mmHgまで低下したため腕頭動脈のmalperfusionと考え,上行大動脈を離断して体外循環を停止した.遮断を解除して真腔内に送血カニューラを直接挿入し上行大動脈とともに結紮固定し送血を再開した.血圧は80mmHgまで回復したが約10分間要し,その後,順行性脳分離体外循環にて上行・弓部置換術を施行しEntryは異常はなく48日後に退院した
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