発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302205
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68歳男.胸部X線像およびCTにより大動脈弓部左側に異常陰影が認められたが,軟部組織として経過観察を行っていた.7年後,異常陰影の増大を認めた.理学所見,血液生化学検査所見,生理学検査所見に異常所見は見られなかったが,胸部X線所見と胸部CT所見から6cm大の不整形軟部組織を認め,大動脈弓部,肺動脈体幹~左肺動脈,上肺静脈と広く接し,左上葉へも大きく進展し大血管と肺に浸潤している胸腺腫と診断された.胸腺腫の完全切除を行うために大動脈弓部置換と左肺摘除を行った.切除標本において正岡分類III期の浸潤型胸腺腫であり,心嚢液細胞診所見では陰性,病理組織所見は世界保健機関(WHO)分類typeB2であった.術前化学療法を行わずに手術を先行した.また,術後の再発予防のための放射線療法や化学療法としての補助療法も有効性のエビデンスは未だ不十分なので行わなかった.術後1日に抜管,5日より食事を開始,術後発熱がみられたが経過は良好で術後61日で退院,術後1年6ヵ月経過したが,再発,転移の徴候も見られず外来通院している
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