発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009296148
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77歳女。自転車走行中に乗用車と衝突し、搬送された。外傷性くも膜下出血、外傷性大動脈解離、右尺骨開放骨折、左頸骨・腓骨骨折、左膝切傷、顔面・胸背部・両下肢の広範な打撲と診断され治療目的で受傷後2時間に当院に転送された。進行性ショックを呈し意識レベルはやや低下し、胸腹部造影CTで左鎖骨下動脈起始部直下から大動脈分岐部、左総腸骨脈に至る偽腔開存型IIIb型大動脈解離と動脈管様に造影される管状影を認めた。心嚢液、下行大動脈周囲血腫は増悪していた。くも膜下出血の増悪は認めなかったため大動脈解離に対する緊急手術を分離肺換気下に施行した。左胸腔内は全面癒着し、縦隔胸膜下に血腫が充満していた。心嚢内には血性心嚢液が貯留し肺動脈前面から右室前面に心外膜下血腫が広がっていた。部分体外循環を開始し、遠位弓部大動脈人工血管置換術を行った。術後の頭部CTでくも膜下出血は吸収されつつあり、上下肢骨折は保存的治療として第36病日にリハビリ目的に前医へ転院した。退院前CTで硬膜下水腫、末梢側吻合部以下に偽腔開存型解離が残存したが経過観察とした。
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