発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210150
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61歳男.50歳時に汎血球減少で再生不良性貧血と診断されていた.今回,労作時胸痛が出現し,冠動脈造影で左冠状動脈主幹部および左回旋枝に75%狭窄を認めた.Cyclosporin内服を行ったがPLTの増加はみられず,心拍動下冠状動脈バイパス術を選択した.胸骨正中切開時より出血傾向を認めた.左内胸動脈(LITA)と橈骨動脈(RA)を採取してY型compositeグラフトを作成し,LITAを左冠状動脈前下行枝に,RAを回旋枝に吻合した.Protamine sulfate投与後に濃厚血小板血30単位を,更に濃厚赤血球血16単位と新鮮凍結血漿血6単位を輸血した.徐々に凝固能の改善がみられ,剥離面からの出血も減少し,安定した状態で閉胸操作ができた.手術時間は4時間50分で,術中自己血回収システムを使用し,術中出血量は500ml,術後出血量は12時間837ml,24時間937mlであった.術後4日目に発熱,CRP上昇を認めたが,顆粒球コロニー刺激因子,抗生物質投与で改善し,グラフトの良好な開存を確認した
©Nankodo Co., Ltd., 2006