発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153677
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69歳女.3ヵ月前より食後にむせるようになり,その後咳嗽,発熱が出現した.近医で右下葉肺炎と診断され,抗生物質を投与されたが症状は改善せず紹介受診した.高度な炎症所見を認め,喀痰培養でMRSAを検出した.食道内視鏡を施行したところ,中部食道が右方へ分岐しており,食道憩室と考えた.造影所見では食道憩室の先端が右下葉気管支に開通し,造影剤が気管支へ流入したことより,食道憩室に連続する気管支瘻の存在が示唆された.絶飲食,抗生物質投与を行ったが2週間後もMRSAの消失はなく,炎症所見も改善しなかったため,外科的治療を選択した.合併症などを危惧して食道憩室および気管支瘻孔のみ切除したが,第7病日に食道造影で新たな瘻孔を認め,憩室切除部位の2cm下方で右下葉と交通していた.再開胸術で径2mmの索状組織を認め,これを切離した.再手術後,炎症所見は速やかに正常化し,症状も消失した.術後4年経過し,下葉温存による問題はなく,肺炎の再発もない
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