発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012219127
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症例は60歳男性で、2年6ヵ月前に血痰があり、食道気管支瘻による肺炎を疑われたが本人の希望で保存的治療を行い、その後、特発性器質化肺炎を発症し増悪して外科処置の適応となった。上部消化管内視鏡で門歯より約37cmの食道左側に瘻孔を伴う憩室を認め、胸部CTでは左肺下葉に嚢状構造が存在し、内部に空気を含み、肺野には斑状の陰影が散在していた。食道気管支瘻による左肺化膿症と診断し開胸術を施行した。縦隔面で横隔膜上約5cm、下肺静脈の尾側から下葉に入る索状の瘻管を認め、下葉切除を行った。次いで食道憩室を自動縫合器で切除し、フィブリン糊を塗布して周囲組織で被覆した。病理所見で、肺組織には細菌集落を含んだ膿瘍が形成され、瘻管は扁平上皮からなる粘膜上皮と、上皮下の平滑筋の増生を認め、気管支内腔に連続していた。術後8日目に炎症反応が増悪してCT所見より膿胸と診断し、開窓術を施行した。その後は肺炎再発はなく、経過良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012