発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005190864
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59歳女.5日前に下腹部痛が出現した.鎮痛薬を投与されたが,3日後には激痛となった.CT,MRIでは下腹部に15cm大の腫瘤と腹水,また,右胸水を認めた.胸水は,翌日には急激に増加し,貧血の進行,低酸素血症も認めた.胸腔試験穿刺では血胸と診断された.画像上,右肺が虚脱するほどの胸水が存在するが,腹部には腫瘤を認めたが腹水は軽度であり,胸腔内にも出血源のある可能性を否定できず,緊急開胸術を施行した.開胸すると,胸腔内には2400mlの血性胸水を認めたが,明らかな出血源は認めなかった.しかし,横隔膜腱様部に3mm大の小孔を認め,同部を持ち上げると腹腔内より血性腹水が流出した.横隔膜小孔を縫合した後,婦人科にて開腹手術を行い,下腹部に腫瘤を認めた.同部からは出血がみられた.卵巣腫瘍軸捻転の診断であったが,ほぼ全てが壊死に陥っており,組織学的診断は得られなかった,術後経過は良好である
©Nankodo Co., Ltd., 2005