発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005190863
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
64歳男.左胸背部痛が出現し,前医による鎮痙薬で症状は軽快し経過観察となっていたが,2日後の胸部単純X線像,胸部CTで食道穿孔が疑われ,搬送された.炎症反応は亢進し,画像検査では下行大動脈周囲の縦隔胸膜の空気層,左胸水を認めた.胸腔鏡を挿入し,穿孔の位置や大きさ,性状を観察した.続いて上部消化管内視鏡を挿入し,内視鏡先端の光と送気による空気の漏出の組み合わせで病変の確認を内外から行った.炎症が縦隔より胸膜に穿破し,膿胸に至っていたため,手術を選択した.発症から手術開始までには64時間が経過していた.病巣は1cm大で,下部食道左側壁にあり,穿孔部一次縫合閉鎖と肋間筋の被覆で処置した.術後14日に施行した内視鏡では,穿孔部は瘢痕閉鎖し,内腔の狭小化もみられなかった.また,膿胸や縦隔腫瘍も出現しなかった.特発性食道破裂の適切な診断には,胸腔鏡および術中上部消化管内視鏡が有用であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2005