発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012220172
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77歳男。特に誘因なく嘔吐を繰り返し、発熱、胸部不快を認め救急搬送された。低酸素血症を認め、CTにて食道損傷が疑われた。胸部X線では、縦隔から頸部におよぶ気腫と下肺中心の線状網状影を認めた。胸部CTでは、著明な縦隔残渣を認め、下部食道穿孔と診断し、縦隔限局型の特発性食道破裂と診断した。経鼻胃管による受動的ドレナージと絶食管理、高カロリー輸液(TNP)および抗生物質投与を行ったところ、発熱は第5病日に軽快した。その後、内視鏡検査および造影検査を行い、下部食道右側に5cmにわたる穿孔を確認し、残渣があるものの食道内への膿瘍ドレナージは良好であった。軽快傾向であったが、来院時からの低栄養が改善せず、第25病日に内視鏡的胃瘻造設術PEG-Jを挿入した。その後、内視鏡下に経空腸チューブを挿入し、経鼻胃管を裂傷部手前に留置し、受動的ドレナージを施行した。以後、全身状態の改善とともに活動性も上昇した第48病日に経腸栄養を自己抜去したため経胃栄養とした。
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