発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005130152
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67歳女.脳梗塞加療中に右肺門部異常影を指摘された.胸部X線にて右肺門部に比較的境界明瞭な腫瘤影がみられ,造影CTでは同部前方に約4×3cm大のほぼ球形の低濃度領域が上大動脈や右肺動脈と接して存在し,腫瘤辺縁部を中心に不均一に造影された.MRIのT1強調画像では内部不均一で低信号域が散在し,T2強調画像では高信号を示し周囲との境界は比較的明瞭であった.気管支鏡検査では可視範囲に明らかな異常はみられず,縦隔腫瘍を疑い胸腔鏡手術を施行した.病変は右上葉内にあり上大動脈と横隔神経に接していて,腫瘍は上肺静脈と肺動脈本幹にまで浸潤していた.迅速病理診断は,核分裂像の明らかでない低分化の準悪性腫瘍であった.HE染色では大小不同の核を有する異型細胞が気管支血管束周囲に索状に増殖し,小血管の増生が著明で,ヘモジデリン沈着が散見された.免疫染色ではCD34,pancytokeratin,CEA,desmin,α-SMA,synaptophysin,chromogranin A,neurofilament,p53,Lue-7が陰性,vimentinとHLA-DRが陽性,factor XIIIaがドット状に陽性で,血管周皮腫と診断した.術後1年を経過し,胸部陰影の増大傾向はない
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