発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005055350
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45歳女.6ヵ月前に感冒症状で近医を受診,胸部X線像で右上肺野に腫瘤陰影を指摘された.経気管支鏡肺生検では異常を認めなかったが,組織培養で非定型抗酸菌が検出された.INH+RFE+EBの3剤併用化学療法を施行されたが,腫瘍が縮小しないため肺癌を疑い手術目的で紹介入院となった.入院時胸部CT所見にて右S1に5×3cm大の辺縁不整な孤立性充実性腫瘤陰影を認め,胸壁・上大静脈への浸潤が疑われた.以上の所見から,非定型抗酸菌症を伴った肺癌(臨床病期T4N0M0)の疑いで右第5肋間後方開胸にて手術を施行した.術中所見では腫瘍は径5cm大でS1とS2境界の胸膜陥入しており,肺尖部と縦隔側の上大静脈背側に一部癒着していたが,癒着剥離は容易で右上葉を切除した.切除標本の病理組織学的所見から非抗酸菌感染に伴う類上皮肉芽腫と診断され,術後4週で退院となりINH+RFE+EBを6ヵ月間投与した.術後3年を経過した現在,再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004