発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051662
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胸水細胞診にて悪性胸水と診断され,灌流による温熱化学療法を行った原発性肺癌120例のうち,悪性胸水以外のcT因子がT1~2かつN0~1,M0であり,胸膜肺摘除術を受けた8例を対象として術後成績を検討した.8例は全例60歳以下の腺癌で,術後の病理組織標本では本来の胸腔が消失して血管新生や線維化が生じており,癌は消失ないし強く変性していた.また,8例中7例は1年1ヵ月から1年9ヵ月までに癌死したが,1例は3年3ヵ月無再発生存中である.温熱化学療法施行120例の病理所見,腫瘍マーカー,画像診断から局所の抗腫瘍効果が現れていると判断でき,術中明らかに胸膜を損傷し,本来の胸腔内に少量の胸水を認めた5例全例が胸水細胞診で悪性細胞陰性と判定された.悪性胸水貯留例においても癌性胸膜炎以外の予後不良因子を確実に除外できるのであれば,温熱化学療法で局所コントロールを得た後に行う胸膜肺摘除術は有効な外科治療であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2004