発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051667
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胸膜肺摘除術の横隔膜再建に異なる3種類の材料を使用し,その有用性を比較した.1999年12月から2004年4月までに胸膜肺摘除術を施行した4症例を対象とし,びまん性悪性胸膜中皮腫(MPM)2例にはGore-Texシートを,悪性胸水を伴う肺癌2例のうち1例には有茎広背筋弁を,他の1例にはBard Composite Meshシートを用いた.全例,再建横隔膜の感染,ヘルニアおよび再建材料に起因する合併症はみられなかった.有茎広背筋弁は伸縮性・柔軟性に富む自家組織であるが,個体差があり術者の技量を要する.Gore-Texシートは柔軟性と癒着防止作用を有するが,伸縮性はなく高価である.Bard Composite Meshシートは堅牢であるが高価で伸縮性・柔軟性に乏しく,不整な欠損部の再建が困難である.利点・欠点を単純に比較すると,個体差に関係なく手術時間や費用に対する効果が最も高いGore-Texシートが一般的に容認されうる再建材料であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004