発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005051659
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最近10年間に胸膜肺摘除術を行った悪性胸膜中皮腫(MPM)6例と原発性肺癌2例を対象とし,その治療成績を検討した.MPMは全例,アスベストの曝露歴をもつ男性でUICC分類はstageIIIであり,2例にcisplatin(CDDP)による術前補助療法を施行した.予後は生存中2例,死亡4例,平均生存期間は1年8ヵ月であったが,CDDP+docetaxel hydrateによるinduction therapyが奏功したと思われる1症例を経験し,MPMに対するinduction therapyの可能性が示唆された.また,温熱化学灌流療法施行により長期担癌生存中の早期MPM(stageI)2例を経験しており,同法はhigh risk例や外科的切除を望まない症例に対する一選択肢として位置づけられると考えられた.一方,原発性肺癌例は全例男性で病期はstageIVであり,CDDP,paclitaxelによる術後補助療法を行い,予後は生存中1例,死亡1例であり,今回の対象症例における術後成績は決して満足できるものではなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2004