発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305789
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症例は67歳男性で、大腸癌の術前検査で右肺上葉の腫瘤が発見され、気管支鏡下生検で肺腺癌と診断し、大腸癌手術後に肺癌手術目的で再入院した。胸部CTで右S1の右腕頭静脈背側に接する45×38mmの腫瘤を認め、肺動静脈の3D-CTでは肺尖区静脈が右肺動脈の背側を走行して上肺静脈に還流していた。開胸術を施行し、腫瘍は右腕頭静脈周囲と癒着が認められたが明らかな浸潤はなく、右上葉切除および縦隔リンパ節郭清を行った。肺門前面に肺尖区静脈は存在せず、中葉肺静脈と細いV2、V3を認めるのみであった。右上葉に向かう肺動脈枝の処理の後、右肺動脈の右上葉気管支の間に挟まれるようにして肺尖区静脈が存在するのを確認した。術後経過に問題はなく、病理診断は腺癌成分を含む多形癌、pT2aN0M0、病理病期IBであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2013