発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005223327
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
64歳女.患者は咳嗽を主訴とした.胸部X線像では右肺門上方に異常陰影を認め,CTでは上大静脈に接する内部均一な腫瘤が認められた.CT値が20~25HUであり,心膜との連続性も証明できなかった.一方,MRIでは上縦隔から中縦隔にかけて嚢胞性病変が認められ,気管支圧迫症状があったため手術を選択し,腫瘍を摘出した.大きさが7×5cmであったこと,上大静脈および奇静脈との癒着が疑われていたため,安全で遺残なく摘出できるよう,小開胸・直視下でのアプローチとした.また,腫瘤は内下方側では心膜腔との交通が認められ,細胞診で中皮細胞が認められた.術中迅速病理検査により心膜由来の嚢胞と診断,病理組織所見では内面は一層の扁平ないし立法状の中皮細胞で覆われ,その外側は主として膠原線維でなっていた.尚,膠原線維層内は平滑筋束やリンパ球の集簇巣が散見された.術後経過は良好で,再発徴候は認められていない
©Nankodo Co., Ltd., 2005