発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004219875
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45歳(ブラジル人女).1986年から全身性エリテマトーデス(SLE)に対してprednisolone 12mgの内服治療を受けていた,1995年に下壁梗塞を併発したが,保存的治療を受けていた.1996年来日,2000年12月からSLE,閉塞性動脈硬化症(ASO),甲状腺機能亢進症,下壁陳旧性心筋梗塞の経過中に不安定狭心症となり,薬剤によるコントロールがつかず血行動態が増悪したため静脈グラフト(SVG)2本を用いて緊急冠状動脈バイパス術(CABG)を行った.CABG後に血球貪食症候群(HPS)を併発し,ステロイドパルス療法を開始した.開始後速やかに解熱傾向となり,HPSの病状判定の指標であるLDH,フェリチンも改善傾向となった.遅れてPLTも増加傾向を示した.術後1年の冠状動脈造影像でバイパスの開存を確認した.ASO に対して右総腸骨動脈(90%)に経皮的動脈形成術を行った後,F-Fバイパス術を施行した.HPSは致死率が高い重篤な疾患であり,早期の確定診断と治療が必要であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2004