発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211508
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32歳男.10年前に肺結核加療中にMarfan症候群ならびに僧帽弁閉鎖不全症(MR)と診断された.今回,労作時呼吸困難と動悸が出現し,MRによる心不全と診断された.心エコーで左室および左房拡大と,僧帽弁後尖逸脱によるsevere MRを認めた.Valsalva洞径は51mmと拡大していたが,大動脈弁閉鎖不全症(AR)は認めなかった.胸部CTでValsalva洞の拡大を認め,心カテーテル検査で左室造影像でIII度のMRを認め,大動脈造影像ではARはないもののValsalva洞の拡大を認めた.上行大動脈送血,上・下大静脈脱血にて体外循環を確立し,冷却血液心筋保護液による心停止下に手術を施行した.僧帽弁は後尖のlateral scallopに腱索断裂を認め,31mmのATS弁でMVRを行うと同時に左心耳を閉鎖した.Valsalva洞の拡大と壁菲薄化を認めたので,25mmのATS弁と30mmのUBEグラフトでcomposite graftを作成し,大動脈基部置換術を行った.左右冠状動脈はCarrel patch法で再建した.術翌朝に抜管,その後は順調に経過し,術後18病日に退院した.術直後から退院まで,一貫して正常洞調律で経過した
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