発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010305935
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60歳代女。筋肉・関節痛、胸部異常陰影は抗生剤、鎮痛薬で治療されたが呼吸困難、肝機能異常、血小板減少、意識障害が出現し当院転院となった。JCSII-10、眼瞼に紫色の皮疹、肘・膝に紅斑・落屑があり、指にGottron徴候、呼吸音は両下肺野で減弱しfine crackleで、腫瘤は触知せず、筋力低下、筋原性酵素と肝胆道系酵素の上昇、自己抗体はすべて陰性でKL-6は上昇していた。胸部X線で中下肺野に網状影、CTで両側肺野にびまん性すりガラス影を認め、骨髄穿刺で骨髄巨核球の減少、血球貪食像を認め、皮膚筋炎(DM)に伴う間質性肺炎急性増悪と判断した。ステロイドパルス療法、cyclophosphamideパルス療法開始後に呼吸状態は改善したが意識障害は改善せず、再度の呼吸状態悪化にステロイドパルス療法と血漿交換(PE)を施行したところ、意識状態は改善傾向を示した。サイトメガロウイルスアンチジェネミア陽性に対しサイトメガロウイルス(CMV)感染合併も考慮してganciclovir(GCV)を開始した。しかし、筋原性酵素は増加したが血小板は増加せず、呼吸状態はさらに悪化し呼吸不全で死亡した。病理解剖で悪性腫瘍の合併はなく筋肉は筋線維の大小不同、多数の再生線維、軽度のリンパ節浸潤を認め、肺は末梢側に線維化像を認め、非特異性間質肺炎(NSIP)group 2相当の像を示した。また、CMV封入体は認めず、巨核球の減少と組織球血球貪食像を認めDMに伴った間質性肺炎による呼吸不全と病理診断した。
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