発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010300066
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87歳女。不明熱と食欲不振を主訴とした。検査所見で白血球、赤血球の減少、CRPの軽度上昇、LDH、sIL-2Rの中等度高値などを認め、胸部X線、CTでは浸潤影、粒状索状影、気管支拡張様所見、空洞形成様所見を認め、気管支肺炎または結核が疑われた。喀痰検査で有意な細菌は検出されず、levofloxacinやciprofloxacinを投与したが、微熱が続いた。第32病日に行った3回目の喀痰検査でガフキー1号が認められたが、Tbc-PCR、MAC-PCRともに陰性であった。入院時より血球が減少傾向であったため、第38病日に骨髄穿刺検査を行ったところ、有核細胞数、巨核球数ともに低下を認め、clot section組織検査で血球集簇、マクロファジーの血球貪食、類上皮細胞や多核巨細胞による肉芽腫像などの所見を認めた。結核菌は検出されなかったが、経過やCT所見などを考慮して、結核性血球貪食症候群と診断した。抗結核薬isoniazid、ethambutol、rifampicinの投与を開始したところ、速やかに症状は改善した。後日、第32病日に採取した喀痰培養でcolony形成がみられ、ナイアシン陽性、colony検体でTbc-PCR陽性であった。
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