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41歳女。発熱と腹部不快感で受診となった。所見では右上腹部に鈍痛、低フィブリノーゲン、フェリチン上昇ほか、線溶亢進および貪食所見がみられた。またsIL-2Rも比較的高く、血球貪食症候群(HLH)の判断のもとm-PSLパルス療法施行後にPSLが投与された。更にHLH-94に従いdexamethasone(Dexa)、ciclosporin(CYA)に加えetoposide(VP-16)も追加し、CRPの陰性化とともにフェリチンは減少した。しかし、第50病日目に呼吸苦が出現、X線では左上肺野の透過性低下も認められ、CFPMとmicafunginの投与で肺炎は改善したが、第85病日目には再び右下肺野、左上肺野の浸潤影が出現し、あわせてサイトメガロウイルス陽性細胞の増加もみられ、ganciclovirが投与された。その後も127病日目にはCTで右下肺野に空洞病変が認められ、第134病日目には突然の右胸部痛が出現、X線では右胸部に2度の気胸が認められ、胸腔ドレーンによる胸水排液を培養したところ、緑膿菌が検出、CFPMで治療後にpicibanil癒着術が施行された。一方、第274病日に左股関節痛で左大腿骨頸部不全骨折を認め、疼痛コントロールに麻薬投与を開始したが、第374病日に左大腿骨骨頭壊死と診断された。CRPの上昇に各種抗生物質、抗真菌薬を投与したが改善せず、第513病日目に左大腿骨頭の臼蓋破壊の進行で緑膿菌が検出され、骨髄炎を疑い、第533病日目に左大腿部骨頭の洗浄とデブリードメントを行なった後、抗生物質入りセメントステムを挿入した。その結果、病理所見は壊死性慢性骨髄炎で、炎症改善とともに大腿骨頭置換術を施行し、患者はリハビリ後、720病日に退院となった。
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