発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011306521
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54歳女。関節リウマチ、高血圧、高脂血症、糖尿病の既往があった。今回、高熱が持続したため近医を受診し、汎血球減少を指摘され紹介入院となった。白血球数1600/μl、ヘモグロビン9.5g/dl、血小板数5.2×10^4/μlと汎血球減少を認めた。低蛋白血症を呈しトランスアミナーゼ・LDH・中性脂肪が高値となり、フェリチン・MMP-3の上昇を認めた。CRPが高値でIgMが上昇していた。ウイルス検査では、CMV IgM抗体価が上昇していたことから、CMV感染に伴う肝機能障害と診断した。sIL-2R、IL-6が増加し、骨髄穿刺では、有核細胞数と巨核球数は著減しており、組織球比率の軽度の増加、骨髄像では3血球系の貪食像が認められた。手関節MRIでは、関節間隙狭小化、骨びらんおよび結節嚢胞状病変を認めた。メチルプレドニソロンパルス療法を施行したところ、解熱が得られ3血球系の回復と肝機能障害の改善が認められた。プレドニソロンを漸減したところ再度高熱の持続し汎血球減少が進行したためCsAとVP-16を併用投与した。その後、CMV肺炎を併発したため、免疫グロブリン静注療法(IVIG)とガンシクロビル(GCV)投与を行い、CMV肺炎は沈静化した。しかし、CMV IgM抗体価は陽性で血球貪食像も残存した。高熱が再燃して関節痛・浮腫の増悪、血小板数低下、MMP-3とフェリチンの上昇を認めたため、CsA内服を中止し、インフリキシマブ点滴を行ったところ、RA症状は消失し、血球貪食症候群は改善した。
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