発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211506
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人工心肺非使用冠状動脈バイパス術(OPCAB)を施行した50例を対象とした.術前自己血貯血量400mlをA群(n=30,69.2±1.5歳),800mlをB群(n=20,64.0±2.0歳)とした.自己血貯血の適応は日本輸血学会のガイドラインに沿って施行した.採血中は採血量相当の補液を同時に施行した.貯血開始時より鉄剤を1日210mg経口投与した.さらに800ml以上貯血者にはエリスロポエチンの投与を行った(24000単位皮下注射×週1回,または6000単位静脈内注射×隔日週3回).造血剤として使用したエリスロポエチンによる合併症および自己血採血による合併症の発生は認めなかった.両群間において術中出血量およびバイパスグラフト本数に有意差はなかった.術後第7病日のHtはA群33.4±1.5%,B群38.7±1.5%でB群が有意に高値であった.他家血輸血回避率はA群63.3%,B群100%でB群が有意に高値であった.OPCABにおいて,エリスロポエチンを併用した800mlの術前自己血貯血が他家血輸血を回避するのに有効な貯血量と考えられた.貯血時に採血量相当の補液を同時に行うisovolemic donation法は,循環動態安定のための有効な方法であった
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