発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313870
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高リスク群に対してoff-pomp冠状動脈バイパス術(OPCAB)を選択する妥当性を明らかにするため,その早期成績を同時期に行った低リスク群と比較した.対象は最近2年間に行った単独OPCAB連続110例で,術前に危険因子を有する68例(H群)と有しない42例(L群)に分類した.1)危険因子は脳血管障害,超高齢,腎機能障害,低左心機能,糖尿病,呼吸機能低下,緊急手術,急性心筋梗塞,術前からの大動脈バルーンパンピングまたは経皮的心肺補助装置の使用とし,脳血管障害は30例に認められた.2)バイパス本数に両群間で差は認めず,使用したグラフトの種類や末梢吻合の領域も両群間で大きな差はなかった.3)Sequentialバイパス施行率,完全血行再建率はL群で高い傾向にあったが有意差はなく,術後早期のグラフト造影ではL群の開存率は97.1%,H群は100%であった.4)病院死亡はH群に1例認めた.術後何らかの合併症を生じたのは両群とも約7%であった.以上,OPCABは高リスク症例,特に脳血管障害を有する症例に極めて有効と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2006