発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004211504
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56歳男.食道癌で食道亜全摘術ならびに左下葉合併切除を施行した.翌年,経過観察中に胸部X線正面像で異常陰影を指摘され入院となった.胸部X線所見で左下肺野の心陰影に重なる部位に境界明瞭で直径4cm大の腫瘤陰影を認めた.胸部CT所見では左S9領域に境界明瞭な円形の腫瘤陰影がみられたが,その内部陰影は不均一であった.腫瘤陰影からの経気管支鏡擦過細胞診では,大型で粗大顆粒状のクロマチンを持つ異型細胞が敷石状に配列しており,扁平上皮癌を疑う所見であった.以上より,食道癌術後の肺転移と診断し,腫瘍を含む肺部分切除を行った.病理組織所見では腫瘍は複数の成分で構成されていたが,紡錘形の腫瘍細胞が密に錯綜して配列している線維肉腫様の成分が最も多く,これらの細胞は粗大顆粒状のクロマチンをもつ大型の異型性をもった核を有していた.肉腫様の成分の中に癌腫への分化を示す部分が混在しており,本腫瘍は肺癌肉腫と診断した.免疫組織化学的検索でも肺癌肉腫に矛盾しない所見であった.外来で経過観察中,術後5ヵ月で胸腔内の再発をきたし死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2004