発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010265963
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64歳男性。患者は感冒様症状に続き、呼吸苦・下腿浮腫が出現し近医を受診、心不全と診断され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、心臓超音波では僧帽弁後尖の逸脱による高度僧帽弁閉鎖不全がみられ、腹部超音波では胆嚢内に広基性腫瘍性病変が認められた。また、腫瘍表面は不整で、内部は低エコー、不均一を示し、血液検査ではPLTの異常高値が確認された。以上より、本症例は本態性血小板血症、胆嚢腫瘍を合併した僧帽弁閉鎖不全症と診断され、内科的治療による心不全改善後、開腹下で胆嚢摘出手術を施行、病理組織学的にstage Iの胆嚢癌であった。尚、この胆嚢摘出後38日目に僧帽弁閉鎖不全症に対し僧帽弁形成術、maze手術が行われ、あわせて抗凝固療法が行われたが、手術から2年経過現在、胆嚢癌の再発・転移はみられず、心機能も良好である。
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