発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116824
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78歳男。患者は労作時呼吸困難を主訴とした。胸部X線では心拡大、軽度の肺鬱血が認められ、心エコーでは左室機能は保たれていたが、前尖の逸脱による高度の僧帽弁閉鎖不全(MR)、中等度の三尖弁閉鎖不全、軽度の大動脈弁閉鎖不全が確認された。また、単純CTでは上行大動脈に高度の石灰化病変がみられ、心電図では心房細動を認めた。以上、これらの所見より本症例は上行大動脈の高度石灰化のため鉗子による遮断が困難と予想され、ロックバルーンカテーテルによるendo aortic clamp遮断下にloop techniqueを用いた僧帽弁形成術と心房細動に対するmaze手術が行われた。その結果、術後の心エコーではMRを認めず、有効弁面積は2.85cm2で、狭窄所見もなく、良好な左房収縮を認めた。但し術後8日目に心嚢液貯留で心嚢ドレナージを要した。だが、その後は経過良好で、洞調律を維持したまま、術後24日目に患者は自宅退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007