特集 毛髪再生のメディカルサイエンス:毛は生やせるか?
色素幹細胞とそのニッチ 毛包幹細胞の新しい役割
松村 寛行
1
,
毛利 泰彰
,
西村 栄美
1東京医科歯科大学難治疾患研究所 幹細胞医学分野
キーワード:
シグナルトランスダクション
,
Transforming Growth Factor Beta
,
幹細胞
,
毛の色
,
細胞分化
,
生物由来色素
,
色素細胞
,
変異系マウス
,
毛包
,
幹細胞ニッチ
,
Collagen Type XVII
Keyword:
Cell Differentiation
,
Chromatophores
,
Hair Color
,
Mice, Mutant Strains
,
Pigments, Biological
,
Stem Cells
,
Signal Transduction
,
Transforming Growth Factor beta
,
Hair Follicle
,
Stem Cell Niche
,
Collagen Type XVII
pp.1038-1041
発行日 2013年9月22日
Published Date 2013/9/22
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哺乳類の毛包は,周期的に毛を再生する皮膚の付属器官である.色素幹細胞は,毛包の中ほどに位置するバルジ領域-サブバルジ領域に局在しており,毛色や肌色のもととなる色素細胞の供給源として機能している.色素幹細胞は,通常は未分化な状態で休眠しており,隣接する毛包幹細胞が活性化されると,これに同調して色素幹細胞が活性化される.続いて自己複製し,同時に分化細胞を供給して有色の毛を生やすようになる.周囲のニッチ細胞が色素幹細胞の運命を優位に制御することは明らかになっていたが,その仕組みについては長らく明らかではなかった.筆者らは,毛包幹細胞そのものが色素幹細胞の“ニッチ細胞”として機能していることを証明し,その仕組みを明らかにしたので紹介する.また,その仕組みの破綻により白髪を発症することから,白髪の予防や治療のうえでも鍵となる.
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