特集 FGFシグナルの新たな制御機構:新規な活性調節分子の発見と関連疾患治療の最先端
FRS2ファミリーの生理的役割と癌との関わり
水谷 アンナ
1
,
後藤 典子
1東京大学医科学研究所 システム生命医科学技術開発共同研究ユニット
キーワード:
線維芽細胞増殖因子
,
シグナルトランスダクション
,
遺伝子増幅
,
腫瘍遺伝子発現調節
,
眼奇形
,
腫瘍
,
器官形成
,
線維芽細胞増殖因子受容体
,
ノックアウトマウス
,
神経幹細胞
,
FRS2 Protein
Keyword:
Eye Abnormalities
,
Fibroblast Growth Factors
,
Gene Amplification
,
Neoplasms
,
Signal Transduction
,
Gene Expression Regulation, Neoplastic
,
Receptors, Fibroblast Growth Factor
,
Mice, Knockout
,
Organogenesis
,
Neural Stem Cells
,
FRS2 Protein, Human
pp.440-444
発行日 2012年3月22日
Published Date 2012/3/22
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
FGF受容体( FGFR)型チロシンキナーゼによるシグナル伝達においてアダプタータンパク質 FRS2が重要な役割を担っている. FRS2ファミリーには FRS2αおよび FRS2βがあるが,その発現部位が異なることから生理的役割は異なると考えられている. FRS2αについては研究が進んでおり, FGFシグナルの“シグナルプラットフォーム”として司令塔のように働いていることがわかっている. FRS2αノックアウトマウスは胎性早期に致死となり, FRS2α変異マウスは眼の発生や神経幹細胞の維持・増殖をはじめ,様々な発生段階に支障が生じる.これらの表現型の多くは FGFシグナルが正常に働かないことが原因となっている.さらに, FGFシグナルは癌の病態とも深く関わり, FGFや FGFRの遺伝子増幅,過剰発現または変異が複数の癌で報告されている. FRS2αをコードするゲノムを含む染色体部分の増幅も報告されており, FRS2αは癌治療の分子標的にもなりうる.
Copyright © 2012, Gakken Medical Shujunsha Co., Ltd. All rights reserved.