特集 癌幹細胞の治療抵抗性とその打破
発癌シグナルパラドックス PI3K-AKT関連シグナルと白血病幹細胞
平尾 敦
1
1金沢大学がん進展制御研究所
キーワード:
シグナルトランスダクション
,
腫瘍遺伝子発現調節
,
腫瘍幹細胞
,
造血幹細胞
,
腫瘍過程
,
白血病
,
ノックアウトマウス
,
Phosphatidylinositol 3-Kinase
,
c-akt癌原遺伝子タンパク質
,
PTEN Phosphatase
,
Forkhead Transcription Factors
,
TOR Serine-Threonine Kinases
,
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 1
Keyword:
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 1
,
Hematopoietic Stem Cells
,
Leukemia
,
Neoplastic Processes
,
Neoplastic Stem Cells
,
Signal Transduction
,
Gene Expression Regulation, Neoplastic
,
Mice, Knockout
,
Proto-Oncogene Proteins c-akt
,
PTEN Phosphohydrolase
,
Forkhead Transcription Factors
,
TOR Serine-Threonine Kinases
,
Phosphatidylinositol 3-Kinase
pp.42-47
発行日 2011年12月22日
Published Date 2011/12/22
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PI3K-AKT経路は発癌シグナルとして知られ,白血病発症においてもその活性化の重要性が示されている.ところが最近,AKTシグナルの抑制が白血病幹細胞の維持に必須であり,異常な活性化は白血病幹細胞の分化を誘導するという予想外の現象が報告された.同様に, PI3K-AKT経路の下流で負に制御されている転写因子 FOXOは,従来,腫瘍抑制遺伝子様の役割を持つと考えられてきたにもかかわらず,その活性が白血病幹細胞維持に必要であることが明らかとなった.つまり,発癌過程で働くプレイヤーが癌組織維持・増悪の局面では異なる役割を果たしていると考えられる.このように,癌病態に関わる分子やシグナル伝達の使われ方は多面的である.癌組織を均一のものとして扱わず,機能別亜集団を分離し,丹念に解析することによって,これまでに知られていない重要な分子の機能を明らかにできる可能性が示唆される.
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