特集 FGFシグナルの新たな制御機構:新規な活性調節分子の発見と関連疾患治療の最先端
特集を読むまえに 基礎の基礎
松尾 勲
1
,
後藤 典子
2
,
下川 佳世
1
,
木村-吉田 千春
1
1大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター研究所 病因病態部門
2東京大学医科学研究所 分子療法分野
pp.402-408
発行日 2012年3月22日
Published Date 2012/3/22
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繊維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor;FGF)は,その名のとおり繊維芽細胞を増殖する因子として精製・同定された.FGFは,哺乳動物では22個の遺伝子からなり,カノニカル〔パラクライン(傍分泌)〕FGF,内分泌性(ホルモン様)(エンドクライン)FGF,細胞内分泌性〔イントラクライン(細胞内で作用)〕FGFの3種類のグループに大別される .カノニカルFGF(FGF1〜10/16〜18/20/22)は,FGF受容体(FGFR)を介して細胞の増殖・分化・移動などを制御し,内分泌性FGF(FGF19/21/23)は,血液中などを移動後にFGFRを介してビタミンD,リン,カルシウム,グルコースなどの代謝を制御し,細胞内分泌性FGF(FGF11〜14)は,FGFRを介さずにナトリウムチャネルなどと直接結合してチャネル活性を制御している .このように多様な機能を果たしているFGF シグナルに破綻が生じると,発生異常による先天性疾患,成長障害,血管新生をはじめとする創傷治癒過程の遅延,代謝疾患などが引き起こされる.さらには,恒常的にFGF シグナルが活性化されるような変異がFGFR遺伝子に入ると,ヒトでは悪性腫瘍を発症することが報告されている
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