特集 オルガネラ・モデリング:ベールを脱ぐ分子設計図
特集を読むまえに 基礎の基礎
藤本 豊士
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1名古屋大学大学院医学系研究科 分子細胞学分野 教授
pp.1130-1134
発行日 2011年10月22日
Published Date 2011/10/22
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細胞は脂質二重層を基盤として作られた生体膜に包まれ,タンパク質豊富なゾルが詰まった生命体である.真核細胞の内部には多くのオルガネラ(細胞小器官)が存在する.電子顕微鏡で観察すると各オルガネラは特徴的な形を示しており,まったく初めて見る細胞であっても(例えば,高等動物の大脳皮質の研究者が酵母細胞の電顕像を見ても),ほとんどのオルガネラを同定することができるだろう(図1).オルガネラは膜構造を持たないもの(非膜性小器官)と膜構造を持つもの(膜性小器官=狭義のオルガネラ)(表1)に分けられる.細胞骨格やリボソームなどの非膜性小器官はほとんどタンパク質だけで形成されるので,個々の構成タンパク質の機能を解析することが小器官全体の性質の解明に直結する.一方,膜性小器官の性質を知るためにはタンパク質の解析に加えて,膜構造を作る脂質の役割を明らかにすることが必要になる.今回の特集では膜性小器官に話題を限って,その形成メカニズムがどこまでわかっているのかを俯瞰してみたい.以後,狭義のオルガネラ(膜性小器官)を単にオルガネラと呼ぶことにする.
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