特集 細胞力覚:発生・再生と疾患を制御する力学的コミュニケーション
特集を読むまえに 基礎の基礎
曽我部 正博
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1名古屋大学大学院医学系研究科 細胞生物物理学分野 教授
pp.978-987
発行日 2012年8月22日
Published Date 2012/8/22
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細胞の機能は,遺伝子の発現調節とタンパク質の活性調節を通して生み出される.これらは,細胞に作用する生理活性物質やpHなどの化学刺激と温度,光,電気,力などの物理刺激により調節されている.その意味で,生体機能における“力(ちから)”の役割は特に目新しいものではない.事実,聴覚,前庭覚,触覚,臓器圧覚,筋感覚は古くから生理学の中心テーマの1つであった.また,非感覚細胞である筋細胞や骨芽細胞/破骨細胞がトレーニングなどによる力の負荷に応答して筋や骨の増量を導くことはよく知られている.ではなぜ今,生体機能における“力”の役割が注目されているのであろうか?
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