第1特集 働く世代の健康管理と就業調整
就業制限の基準と判断
就業制限の法的背景と現場の運用
山田 耕太郎
1
1山田労働衛生・労務コンサルティング
pp.1139-1141
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025090014
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はじめに
企業は労働安全衛生法の規定により,労働者に対して医師による健康診断を実施し,一定の条件を満たす長時間労働者や高ストレス者に対しては面接指導を行う義務がある.
これらの健康診断や面接指導は単に実施すればよいというものではなく,労働者が安全かつ健康に働けるようにするため,労働時間の短縮などの就業制限の必要性を含めた就業上の措置について医師の意見を求めなければならない.
このような医師の意見は,原則として産業医から聴取するのが適当とされている1)が,主治医であっても産業医より治療の状況について情報提供を求められることがある.また,産業医の選任義務がない事業場では,企業が主治医に直接意見を求めるケースも散見され,主治医の立場でも就業制限の実施に間接的,あるいは直接的にかかわることがある.
本稿では,まず就業制限の法的な背景をはじめとした概説を行い,その後実際に産業医が配置されている企業における就業上の措置の運用について解説する.

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