Hospital Topics 経営
就業規則
A.S
pp.84-85
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202127
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病院の多くは就業規則の作成を必要とする事業場であるので,今回は病院管理者のために,就業規則の成立過程と,その法的に必要とする内容,作成の手続き,効力ならびに労働協約との関係について,簡単に説明してみたい。
資本制生産が小規模生産から大規模生産に移行するに従い,企業が多数の従業員を雇用するようになると,必然的に職場を統轄し,労働の効率を高めるために職務規律の設定や,始業終業の時刻ならびに休憩時間を統一化する必要に迫られてくる。こうして就業規則は,歴史的には,企業経営における労働力を組織・秩序づける必要から明文化されてきたが,その当初は,賃金の決定・計算および支払方法や,退職金・諸手当・賞与などの労働条件ならびに職場の安全衛生に関する事項は含まれないのを常としていた。しかし,労働者の発言力が増大し,労働基準の明示を要求する声が高まってくると,就業規則は,当初の単なる職場規律的なものから,次第に賃金等をめぐる労働条件の明示や労働者の待遇基準を明確化する方向へとその重点が移ってくる。けれども,その内容・本質のかかる変化にもかかわらず,就業規則の制定や変更は,依然としてもっぱら使用者の恣意に委ねられていたのである。わが国の労働基準法は,就業規則の制定・変更を労働者側の意見をきくことを要件としながら,終局的には,それらを使用者の一方的な決定に委ねているのである。
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