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閉塞性睡眠時無呼吸症候群
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea:OSA)は,上気道の完全または 部分的な閉塞によっていびきや無呼吸,低酸素や睡眠障害を引き起こす病態である. 小児OSAの要因は,乳幼児期はアデノイド(咽頭扁桃),(口蓋)扁桃肥大が主で,思春 期は扁桃肥大,顎顔面形態異常,肥満が危険因子である.3 ~ 8歳にかけて口蓋扁桃・咽 頭扁桃のサイズが大きくなり相対的に気道が狭くなるため,閉塞性の睡眠時無呼吸が出現 しやすくなる.成人と異なり咽頭レベルでの気道虚脱を起こしにくく,覚醒反応も起こし にくいため気道狭窄と努力性呼吸をきたしやすい.アレルギー性鼻炎などの鼻閉もOSA を引き起こす要因にもなり得る.小児患者におけるOSAの有病率は1 ~ 9%で,ピーク はアデノイド,扁桃肥大のある2 ~ 6歳である. 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)の診断基準は表1のように睡眠障 害国際分類第3版(ICSD-3)に基づく基準Aの臨床症状があり,かつ基準Bの終夜睡眠ポリ グラフ(PSG)による閉塞性無呼吸低呼吸指数(OAHI)≧1/時であればOSAと診断できる. 基準CはPSGの施行が困難な2歳未満を対象とした基準で,保護者から子どもの睡眠中の いびき,もしくは不自然なあるいは閉塞性の呼吸症状の報告があることを重視している. 呼吸イベントの定義は無呼吸の持続時間は成人で10秒以上だが,小児は2呼吸分以上と 異なる.小児における重症度分類は1 ≦ AHI < 5/時が軽症,5 ≦ AHI < 10/時が中等度, 10≦AHIが重症となる. アメリカ小児科学会のtechnical reportでは,アデノイド切除術・口蓋扁桃摘出術(adenotonsillectomy: AT)による治癒率は75 ~ 100%で治療の第一選択である1).Childhood Adenotonsillectomy Trial(CHAT study 2012)という小児OSAに対するATの大規模前 向き研究において,小児OSAは経過観察にて46%しか治癒しないのに対して,(平均AHI 4.5 → 2.9/時),AT手術を施行し症例では79%治癒(平均AHI 4.8 → 1.3/時)し,呼吸イ ベントに対する効果は高い2). 質問紙による評価ではOSA-18(表2)が用いられる3).AHIとOSA-18のスコアは有意 な相関を認めSASの重症度の予測,術後の改善の有無の評価に有用である.領域別の変化 量では睡眠障害,身体的障害,保護者の視点,日中の活動性,情緒の順に改善度が高いが, 術前後で情緒では有意差がみられないことが多い.
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