特集 患者の不安をやわらげるクリニカルスキル
やわらげるスキル
感情的な外来患者への対応のコツ
池亀 康夫
1
1給田ファミリークリニック
pp.750-755
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023060013
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はじめに
怒りは情動と呼ばれ,急激に起こり,冷静さを失わせる強い感情である.また,その矛 先となる人の心も大きく揺さぶられる.怒っている患者を目の前にしたとき,過剰な反応 をしてしまったり,逃げ出したくなった経験は,誰しもあるだろう. 怒っている患者をはじめ,イライラや不安といった陰性感情を医師が感じたり,診療に 困難を感じたりする患者をdifficult patientといい,プライマリ・ケア外来セッティング では15%いると報告がある.そのような患者の診療では効果的なケアが阻害され,医師の 疲労や患者医師双方の診療満足度が低下する.また,誤診の増加,医師のバーンアウトな どさまざまなことにも関係することが知られている1).医療者はこのようなとき,患者側 の問題と捉えがちであるが,その要因には患者要因のほかに医療者要因や環境要因があり, これらすべての視点をもつことが重要である.
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