特集 患者の不安をやわらげるクリニカルスキル
やわらげるスキル
過剰に不安がる患者への対応のコツ
土田 知也
1
1聖マリアンナ医科大学 総合診療内科
pp.756-761
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023060014
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はじめに
2023年春,テレビやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上には医療に関 するさまざまな情報があふれており,「自分の症状はその疾患が原因ではないか?」と不安 になり来院する患者も多い.数年前,あるテレビ番組で甲状腺機能低下症が特集されたが, 翌日の外来では,「だるいので甲状腺を調べてほしい」,「体重が増えてきたから甲状腺を 調べてほしい」と訴える患者が増えた経験がある.このように,患者はさまざまな媒体を 通じて多くの情報を集めることができるが,その情報が患者の不安を過剰に煽ってしまう ケースも多い.患者は健康問題についての相談のために医療機関を受診する.その際,患 者がその不安の理由についてうまく話すことができれば医療者はその解消に向けて比較的 容易に対応ができるが,「なぜそんなに心配をするのか?」,「その検査や治療は不要では?」 と感じるケースもある.本稿では,過剰に不安がる患者への対応について,あるケースを もとに概説する.なお,本稿の執筆は2023年3月末,新型コロナウイルス新規感染者発 症者が減り,5類感染症へ移行する前の状況である.
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