特集 不明熱のカルテ
HIV関連不明熱
AIDS発症患者の抗レトロウイルス療法開始後の発熱
小西 啓司
1
1大阪市立総合医療センター 感染症内科
pp.230-234
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023020016
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ファーストインプレッション
AIDS患者に発症する代表的な日和見感疾患と標的臓器を表1に示す.HIV感染症におい ては,CD4数が低下していくほど合併疾患を発症する危険性が高まる.とくに本症例のよ うにCD4数 50/μL以下の症例では,複数の日和見疾患を発症することも多くなる.AIDS 発症患者においては免疫抑制状態であり自覚症状が乏しい場合も多いため,自覚症状がな くても全身検索を積極的に行うべきである.また,HIV感染者にARTを開始した直後は免 疫再構築症候群と呼ばれる状態を考慮する必要がある.これはARTによる細胞性免疫回復 に伴い炎症所見が高度化/顕在化した状態であり,頻度の高い疾患は帯状疱疹,非結核性 抗酸菌症(NTM症),サイトメガロウイルス(CMV)感染症,ニューモシスチス肺炎,結核, カポジ肉腫などである.左足底の結節はカポジ肉腫が疑われたが,ほかに熱源となる日和 見疾患がないか追加検査を実施した.
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