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要旨
本研究は、母性看護学実習の効果として、実習前と実習後における養護性の変化を実習内容との関連において明らかにし、母性看護学実習の在り方について検討することを目的とした。
平成29年8月28日〜平成30年2月17日の期間で、A大学看護学部3年生93名を対象に、母性看護学実習前と実習終了後に養護性、実習終了後に養護性に肯定的・否定的な影響をもたらしたと考える実習内容について無記名自記式質問紙調査を行った。その結果、実習終了後に「子どもの心の動きに興味がある」、「将来親になった時のことを想像することがある」の項目が有意に上昇した。その一方で、「できれば自分も親となって子どもを育てようと思う」、「自分は子どもを育て、よい親になろうと思っている」の項目は低下した。また、養護性に肯定的影響をもたらした実習内容としては、「抱っこ(実施)」、「母親の抱っこの場面の観察」、「母親の授乳場面の観察」であり、否定的影響をもたらした実習内容としては「母親の疲労した表情の観察」、「母親の寝不足な様子の観察」、「母親の疼痛の訴えの観察」であった。
母性看護学実習を通して、新生児への興味が高まり、養護的役割として親になるであろう自身の想像を高めたが、自分自身が親となり子育てに対する自信を弱めた。母子との接触や母親の育児場面の見学を通してその対象とかかわる中で身体的状態、表情や会話の様子の変化を直に感じ、肯定的かつ否定的感情のどちらも伴う体験をしており、子どもへの関心を高めるばかりではなく、親として子育てをしていく責任の重さを実感する場となっている。母性看護学実習で産後の母子を受け持つ実習方法は、単に看護技術の向上ばかりでなく、養護性の向上に効果があることが示唆された。
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