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要旨
目的
看護大学生の母性看護学実習前後の母性に対する意識の変容を明らかにする。
対象と方法
母性看護学の講義を終えた90名及び母性看護学実習を終えた74名を対象とした。調査は、自記式質問紙による縦断調査で母性看護学の講義終了後の母性看護学実習前(以下「実習前」とする)と実習終了後(以下「実習後」とする)に実施した。回答が得られた「母性」に対する自由記述の内容をもとに分類・整理し、質的に分析した。倫理的配慮として、対象者の不利益とならぬよう匿名化につとめ、対象学生の所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。
結果
本調査の同意は、実習前73名(女子66名、男子7名)回収率81%、実習後68名(女子59名、男子9名)回収率92%で、以上の回答者を分析対象とした。実習前の母性に対する自由記述から、89コードが抽出され、【漠然とした母性の印象】、【母性の存在意義と必要性の認識】、【母性がもたらす効果】の3カテゴリーが導き出された。実習後の母性に対する自由記述から、90コードが抽出され、【イメージ化された母性の印象】、【母性の存在意義と必要性の再認識】、【母性に対する思考の深まり】の3カテゴリーが導き出された。実習前後共に、学生の母性の存在意義と必要性に対する認識を表す記述が見られた。実習前後の記述の比較では、実習後に自己の体験をもとに文章化した母性に対する思いを具体的に表したものが多く見られた。
結論
学生は実習前後に関わらず、母性に対する存在意義と必要性を認識していた。実習前後の母性に対する意識は、実習前の漠然とした印象から捉えた単純なものから、実習後は自身の体験をもとに捉えた具体的なものになっていた。学生は母性看護学実習をとおして母性に対する見方を広げ、自身の思考を深めるとともに意識を高めていたことが示唆された。
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