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特集 「認知症高齢者の尊厳(意思)を重視した看護の取り組み」
1.急性期病院で実現した身体抑制のない看護
一般病院における身体拘束解除に向けた取り組み—医療安全管理者・老人看護専門看護師・病棟看護管理者・リンクナースとの協働・連携
Efforts to Reduce Restricting of the Patient's Body in General Hospitals: Interprofessional Work with a Team Consisting of Medical Safety Manager, Certified Nurse Specialist in Gerontological Nursing, Head Nurse and Link Nurse
和田 奈美子
1
Namiko Wada
1
1北里大学北里研究所病院
1Kitasato University Kitasato Institute Hospital
pp.19-24
発行日 2019年7月31日
Published Date 2019/7/31
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- Abstract 文献概要
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Ⅰ.はじめに
身体拘束は人権や尊厳を侵害するものとして「するべきではない」「してはいけない」という思いを多くの看護師が抱いている.しかし,急性期医療の場では,治療を中心とした疾病管理が優先され,患者の生命と安全確保を目的に,多くの身体拘束が行われている現状がある.
身体拘束は「緊急やむを得ない場合」に限り,「切迫性」「非代替性」「一時性」の3原則を満たす場合にのみ適応される.原則を理解していても,患者の生命や安全確保を目的に「やむを得ない状況」を優先させている事例も少なくない.本当にやむを得ない状況なのかどうかが問われるが,急性期医療のなかにいると看護師はやむを得ない状況であると自分を納得させることにより,身体拘束に対する抵抗感が低下したり,家族から身体拘束の同意書が得られていることなどが身体拘束の許容につながったり,身体拘束の減少を阻んできた要因として考えられる.
そのようななか,身体拘束への社会的な関心が高まり,急性期医療の場においても身体拘束の解除に向けた取り組みが行われ,成果が示されるようになった(小藤,2018).本稿では,一般病院である当院の身体拘束解除に向けた取り組みの実際と取り組み後の身体拘束者数の推移,および身体拘束の解除につながった事例を紹介しながら取り組みの成果を述べていきたい.
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