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1.はじめに
2016年開催の日本老年看護学会第21回学術集会において,老人看護専門看護師(以下,GCNS)の活動を報告することとなり,われわれは専門看護師の6つの役割のひとつ「コンサルテーション」を担当した.Underwood(1995)は,「コンサルテーションとは,コンサルタントと当事者,またはグループ間の双方向の相互作用をもつもの」であり「内外の資源を用いて,問題を解決したり変化を起こすことができるように,その当事者やグループを手助けしていくプロセス」としている.つまりコンサルテーションは単に相談にのる,アドバイスするといった一方的な助言や指導ではなく,コンサルタントとコンサルティがともに問題の明確化と問題解決に向かう,対等な相互関係のプロセスである.専門看護師は,専門看護分野において看護職者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行うこと(日本看護協会)とされており,これを機にGCNSが行う「コンサルテーション」について考えた.その結果,「高齢者の医療や生活を支えるすべての職種や人々から,個別あるいは組織より相談を受け,そのなかにある顕在化した課題,あるいは潜在している課題を踏まえ,高齢者の視点を尊重し,豊かな人生の実現にむけた方法や体制を構築し,高齢者のニーズに沿うよう導いていくことである.そして,相談者やその所属するチーム・組織が高齢者ケアを提供する土壌を醸成するなかで,高齢者にとっての最善を熟考し,問題解決能力が高められるよう段階的・意図的に関わり,高齢者ケアの質向上につなげていくことである」と考えられた.
GCNSが相談を受ける場としては,医療機関や看護関連施設,地域など幅広い.主な相談内容は,せん妄や認知症の行動・心理症状,緩和ケア,抑うつや食事摂取量の低下などのケアに関するものや,治療・栄養法や療養場所等に関する意思決定支援,フレイルの予防,身体拘束,家族支援,退院支援,教育など多岐にわたる.しかし,初めから相談内容が明らかになっていることは少なく,なにが生じているかわからない状況での困り事としてたずねられ,コンサルテーション過程を通じて現象や状況が顕在化されることが多い.
われわれは,このような検討結果を学術集会でポスターにまとめて報告した.本稿ではその内容をもとにGCNSによるコンサルテーション活動について,実際にGCNSが経験した事例を踏まえて述べたい.
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