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はじめに
EBN(Evidence-Based Nursing)の文字や文献が目につき始めたのはおおよそ15年前ごろからであろうか? 看護界ではEBNに引き続きEBP(Evidence-Based Practice)に視点を向け,EBPについての組織的研究が開始された.今日,米国の多くの看護大学ではそれぞれに独自のEBPのモデルを構築し,それに基づく指導カリキュラムを展開している.数多くはないが病院の看護部でもその看護部独自のEBPの形を打ち出し,スタッフ教育やケアの実践に導入している.
米国では,EBNやEBPは行政機関や民間企業の医療保険会社から,医療ケア提供者側にかけられるプレッシャーの一つである.提供されたケアへの医療費の支払いがしばしば拒否されることがあるからである.支払い拒否の理由は非機能性,アウトカムの問題や根拠をもたないケアの提供に対してである.科学的専門性に基づくケアの実践を行う看護師は,確実な知識の裏づけをもたないケアの実践や,過去からの流れに沿って行われる,根拠を証明できないケアに対しては終止符を打たなくてはならない.日常でのケアの実践を再追跡すると,一般的な経験からの伝承により引き出された事柄が行われていることが,目につく(長く使われているルーチン業務),また数多くの実践は科学的根拠や実践の正当性が提示されないまま個人的な意見の強さや慣習的威圧により選択されていることもある(組織の規範),あるいは3〜5年前に作成されたケア基準が,再検討も修正もされずに現在でもケア基準としてまかり通っているような事柄を多く見出すであろう(再検討されないままのケア基準).
貴方ならどうしますか?
*母親が認知症と診断された.認知症の家族をもつ他の家庭におけるケアへの取り組み方と,コーピングに関する情報を探し,質的ケアの実践方法を形作るための参考にしたい.
*自分の子どもがモータバイク事故で脳外傷をうけた.脳内圧をできるだけ早く下げるために,最新のしかも最も効果的治療方法を探し出し,それを行いたい.
*自分はがんの診断を受けた.ケモセラピーの治療について自分の判断を下す局面に立たされている.ケモ治療についての医学的研究データについては,すでに多くの関係資料に目を通した.さらに自分が知りたいことは,同じケモ治療を受けた人々の臨床体験とその取り組み方についてである.
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