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1.高齢者リハビリテーション看護学とベストプラクティス
2008年9月現在,わが国の高齢者人口は過去最高の2819万人(前年2743万人)となり,高齢化率も22.1%となった.今後,後期高齢者人口が増加を続け,2017(平成29)年には前期高齢者人口を上回ると推定されている.したがって,ますます要介護高齢者や認知症高齢者の増加が予測されるなかで,われわれには,高齢者の尊厳を守り,各人のQOLの維持や向上をめざした質の高い効果的なケアが求められる.私は本学の保健学専攻の修士課程設立時(2000)より「高齢者リハビリテーション看護学分野」を開設し,この分野の研究をよりよい実践に高めたいと取り組んできた.特に,高齢者が寝たきりにならないための,廃用症候群の積極的な予防や,障害をもった高齢者が片麻痺などの後遺症から回復して生活を再構築していくという方向からの看護の視点をもったアプローチが重要と考えている.
高齢者リハビリテーション看護学を考えるにあたり,かつて米国で求めた「Gerontological Rehabilitation Nursing」(Easton, 1999)を数年間,院生と輪読した.それには「高齢者リハビリテーション看護は,高齢リハビリテーション患者特有のニーズに焦点を当てた専門的実践であり,健康を促進,維持し,機能回復のための専門技術やケアを提供して,患者と家族のための教育やカウンセリングを行うこと」とある.さらに高齢者リハビリテーションナース(Gerontological Rehabilitation Nurses ; GRN)は「老年学の本質を理解してリハビリテーションの知識と技術を組み合わせる看護である」(ARN, 1997).GRNは「高齢者ケアの技術とリハビリテーションの概念と原理について理解している.この独自性ある看護は障害をもったり,慢性の健康問題を抱える高齢者へのケアを専門的に行うために,加齢のプロセスとリハビリテーション看護実践の両方の知識を併せもつ」ものであり,「主なゴールは治療的な環境で全体的なケア(holistic care)を提供することで,個人にとって一番よい健康レベルまでに高齢者を支援することである.このゴールは一般的なリハビリテーション看護のゴールに似ているが,高齢者特有のニーズ,役割,社会的な関係,そして加齢のプロセスの結果おこる身体的な限界に関して,高齢者に特別な焦点を当てている.GRNはリハビリテーションケアばかりでなく,予防的な教育も行う」とあり,大いに触発された.
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