日本老年看護学会第12回学術集会特集 シンポジウム
「発達的視点からはじめる『人生の統合』への看護援助」
水谷 信子
1
,
河本 久美子
2
1兵庫県立大学看護学部
2社会保険神戸中央病院
pp.16
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
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- 文献概要
これまで「老い」あるいは「老化」という言葉から連想されたのは,高齢者の機能的・構造的な「衰え」でした.しかし現在,老年学研究においては老化を単なる衰退としてとらえる一方向的な見方ではなく,人間がこの世に生命を受けた瞬間から連続的,多次元的,多方向的におこる発達過程の1段階であると,とらえることの重要性が強調されています.
老年期を迎える人は成年期からの移行期を経て,いくつかの老いの生活ステージをたどりつつ,死に向かって進んでいます.看護職が高齢者と関わる期間は,どの場であっても老いの過程のわずかな一時期にすぎませんが,一方で高齢者の生活は,死の瞬間まで連綿と続いています.そして老年期を生きる人は,ライフサイクルを通じてこれまで発達させてきたそれぞれの生きる力やセルフケアによって,自らの生活を豊かで個性的なありように変えていく可能性を秘めています.
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