焦点 災害看護学の構築に向けて・Ⅱ
援助者自身の生活の立て直しへの援助—被災者であるとともに援助者でもある看護職者自身の生活の立て直しに向けての課題
近田 敬子
1
,
石橋 寿子
1
,
宮島 朝子
2
,
大原 美香
2
,
志村 満子
2
,
藤本 悦子
2
,
山崎 京子
3
,
永野 良子
3
,
絹巻 敏子
3
,
梅津 キミ
3
,
大森 綏子
3
,
奥美 恵子
3
,
中野 恵子
3
,
田中 由紀子
3
,
垣内 茂美
3
,
山田 富美子
3
,
畠山 文子
3
,
今井 イヨエ
3
,
尾懸 千秋
3
,
井上 冷子
3
,
竹枝 芳恵
3
,
加集 和喜子
3
,
河関 富美子
3
,
大澤 清美
3
,
長谷 起世子
3
,
河本 久美子
3
,
石田 弘美
3
,
茂見 ミチヨ
3
1兵庫県立看護大学
2兵庫県立看護大学
3兵庫県看護協会
pp.197-205
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900503
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はじめに
阪神・淡路大震災の生活への影響は3年有余を経過した現在も,まだ数多の爪跡を残している。その多くは仮設住宅に住む高齢者や疾病をもつ人人に焦点を当てて述べられているが,必ずしも仮設住宅の住民のみに限定されるべきではない。医療の場からみても,このようなクライエントの生活はもちろんであるが,看護職者自身の生活にも大きく影響を及ぼしていることを強調しておきたいのである。今回のような広域にわたる大災害では,看護婦である前に一人の住民であり,誰しも同じように生活が一変させざるをえない体験をし,生活の立て直しに必死であったはずである。
しかし,医療従事者の場合は震災後初期の頃より不眠不休状態であっても,倒れるまで救助活動や非日常的な残酷な場面の多い仕事に従事することが,その使命であると自らも思っていたであろうし,また周囲から求められもしていた。したがって,看護者としての使命のみが重視されがちであるため,わが家の倒壊や損傷および家族内の心理的危機に関する,さまざまな苦しみを口に出せる雰囲気ではなかった。そのことは,時間的経過とともに私生活において,何らかの影響を及ぼしているであろうし,少なからず看護内容への影響も考えられるが,その実態は明らかにされていない。
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